前世戦士の映画日誌

前世が戦士らしい女が映画を観て色々吐き出します 生態日誌です

『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』ヒーローとは諦めが悪いことをいうんじゃないかと思う(若干ネタバレ)


クリス・パインという人は、微妙に私の好みから外れた顔なんです(おい)。
大好きな今は亡きポール・ウォーカーと似てる気もしないでもないんですが、全体的に顔つきが私の好みより緩いんですね(失礼にもほどがある)。
でもこの人、ここ最近見る度にイイ男になってきて、なんだかお姉さん困るわー。

ワンダーウーマン』を撮ったパティ・ジェンキンス監督が絶賛してました。ワンダーウーマンを支えるスティーブ役のキャスティングが難航する中、快く受けたのがクリス・パインだったと。女性の方が強い映画で脇に回る役側を引き受ける、知名度のある男性俳優がなかなか見つからなかったらしい。
映画を観れば、ワンダーウーマンの永遠の恋人になるという美味しい役だと思うんですが、皆さん、ちゃんと脚本読んで断ったんですかね。
なにせ、それまでクリス・パインなんて子犬としか思ってなかった私が、一気にクリス・パイン推しになったぐらいですからね。

1974年にテーブルトークRPGとして発売され、世界初のロールプレイングゲームとしても知られる「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を新たに映画化したアクションファンタジー。主演を「スター・トレック」「ワンダーウーマン」シリーズのクリス・パインが務めた。

さまざまな種族やモンスターが生息する世界、フォーゴトン・レルム。盗賊のエドガンと相棒の戦士ホルガは、ある目的のために旅に出る。これまでにもさまざまな修羅場をくぐり抜けてきた彼らだったが、今回の冒険は一筋縄ではいきそうにない。そこで、魔法使いサイモンとドルイドのドリック、聖騎士のゼンクを仲間に加え、パーティを組む。ダンジョンに立ちはだかる困難や手ごわい敵の数々、そして高難度のクエストを乗り越えていくうちに、彼らは全世界を脅かす巨大な悪の陰謀に対峙することになる。

盗賊エドガンをクリス・パイン、相棒のホルガを「ワイルド・スピード」シリーズのミシェル・ロドリゲスが演じ、彼らとパーティを組むサイモンをジャスティス・スミス、ドリックをソフィア・リリス、ゼンクをレゲ=ジャン・ペイジが演じる。また、イギリスの人気俳優ヒュー・グラントも参戦。

2023年製作/134分/G/アメリ
原題:Dungeons & Dragons: Honor Among Thieves
配給:東和ピクチャーズ

映画.comより

そんなクリスが出ているこの映画。私、ゲームの方はまったく知らないのですが、まあ普通は剣をふるってアクションすると思うじゃないですか。
ところがどっこい、クリスのアクションなんか、これっぽっちも頭に残らない。いやそもそもアクションシーンってありましたっけ?
走り回ったりはしてた気がするけれど、ちっとも力強いところが思い出せないのです。

もっぱら戦闘は次世代のミシェル姐さんことミシェル・ロドリゲスに丸投げ。
ちなみに今回のミシェルは腕っ節最強ですよ!
世界中の老若男女が彼女に抱かれたくて列を成しますよ!
もうドムなんか捨てちまえよ!(映画が違う)

ミシェル筆頭に、実はこの映画では力で物事解決するのは、もっぱら女性陣なんですね。戦闘担当はミシェル演じるホルガと動物に変身できるドリックで、どちらも女性。
ドリックはミシェル・リリスが演じてるんで、小柄で可愛らしいんですが、とんでも野獣に変身してなかなか暴力的でやっぱり可愛いです。
敵役の魔女も女性、監獄の判事(?)にも女性、とにかく女性が重要な役回りでたくさん起用されています。

ならば男性陣はというと。
騎士?戦士?(パンフレットが無いのでイマイチ分かってない)は一応一人出ていて、レゲ=ジャン・ペイジが端正な顔にとろけるような色気を纏い、アクションにも華がある。普通のファンタジーなら、多分この人が主役。
もう一人は魔法使いなんですがイマイチ腕が悪い。でもそんな彼が実は。。。。という背景があって、見事覚醒する。これも、普通なら主人公あるある展開ですよね。

なのに、クリス演じるエドガンにはその設定はいっさいない。
彼は妻を失くして傷心のシングルファーザーだってだけ。同居しているホルガは恋人ではなくて、恋愛要素もゼロ。腕っ節は並み、魔法できない、変身できない。
じゃあエドガンの存在意義って何なんだよ!?と思うでしょ?

彼はね、諦めないんです。

はい、そこ!
ポカンとした顔しない!
こっちは真剣にモノを言ってんだからね!
(最近このパターン多いな)

この映画で彼がーヒーロー足り得るのはここなんですよ。
エドガンは失敗しても諦めない。
しつこくて仲間が怒り出すほど、諦めが悪い。
続ける努力は才能だといいますが、ナチュラルに諦めないというのもなかなか稀有な才能です。ちなみに私は意外にさっさと諦めます(見切りをつけるとも言う)。

このエドガンという男、諦めが悪いこと以外の才能が、ほぼない(笑)。
でも「諦めない」普通の男が普通のままにヒーローやってるこの映画は、全米であの『ジョン・ウィック4』を抑えて興行成績1位なんだそうです。

確かに『ジョン・ウィック』と違って家族連れが観に行けるレイティングだってことは大きなアドバンテージですし、『ジョン・ウィック』を観る客は多分この映画も観に行ってるからでしょうが、それにしてもすごい。
登場人物の多様性が、性別だけでなく彼らの能力にまで及んで、しかもその中で主人公がもっとも私たちと同じ普通の人だということが、とてもとても受けたんだと思います。(いつになく真面目)

あれ?
そういえば、ジョン・ウィックもいっさい諦めないし、亡くした妻を想い続けている人だったわ。

諦めが悪くて愛情深い男やもめの映画が全米で1,2位だと思うと、まだまだアメリカも捨てたもんじゃないなと思うのでした。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ミシェル姐さんについていく所存です(ネタバレなし)

ミシェル姐さん、アカデミー賞受賞、おめでとおおおおおおございますうううう!!(全力で最敬礼)
この!
喜びを!
どう表現すればいいのかさっぱりわかりません!
とにかくおめでとうございますうううう!!!!

カンフーとマルチバース(並行宇宙)の要素を掛け合わせ、生活に追われるごく普通の中年女性が、マルチバースを行き来し、カンフーマスターとなって世界を救うことになる姿を描いた異色アクションエンタテインメント。奇想天外な設定で話題を呼んだ「スイス・アーミー・マン」の監督コンビのダニエルズ(ダニエル・クワンダニエル・シャイナート)が手がけた。

経営するコインランドリーは破産寸前で、ボケているのに頑固な父親と、いつまでも反抗期が終わらない娘、優しいだけで頼りにならない夫に囲まれ、頭の痛い問題だらけのエヴリン。いっぱいっぱいの日々を送る彼女の前に、突如として「別の宇宙(ユニバース)から来た」という夫のウェイモンドが現れる。混乱するエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と驚きの使命を背負わせるウェイモンド。そんな“別の宇宙の夫”に言われるがまま、ワケも分からずマルチバース(並行世界)に飛び込んだ彼女は、カンフーマスターばりの身体能力を手に入れ、全人類の命運をかけた戦いに身を投じることになる。

エヴリン役は「シャン・チー テン・リングスの伝説」「グリーン・デスティニー」で知られるミシェル・ヨー。1980年代に子役として「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」「グーニーズ」などに出演して人気を博し、本作で20年ぶりにハリウッドの劇場公開映画に復帰を果たしたキー・ホイ・クァンが、夫のウェイモンドを演じて話題に。悪役ディアドラ役は「ハロウィン」シリーズのジェイミー・リー・カーティスが務めた。第95回アカデミー賞では同年度最多の10部門11ノミネートを果たし、作品、監督、脚本、主演女優、助演男優、助演女優、編集の7部門を受賞した。

2022年製作/139分/G/アメリ
原題:Everything Everywhere All at Once
配給:ギャガ

映画.comより

ミシェル・ヨー姐さんの受賞は歴史ですよ、歴史。
アジア系女優による主演女優賞だってのはもちろんですが、アクション女優としてキャリアを作ってきた姐さんが主演女優賞をとったというのも、快挙なんじゃないでしょうか。
これまで主演女優賞をとった俳優でアクションをする人はたくさんいますが、私の知る限り、アクションする俳優なんであって、アクション俳優かというと違う気がします。

そもそもミシェル姐さんがアクション女優を目指した理由が、「アクションやれば役がもらえるから」。
あきらかに前世は戦士ですよね、姐さんは。
80年代にアクションそのものを目指した女優なんて、世界中見渡しても志緒美悦子しか思いつかない。ああ、悦ちゃん、なんで引退したんだ。
そしてそんな姐さんのアクションは、なんちゃってアクションでも殺陣の振り付けでそれらしくしたものでもなんでもない、ガチのアクションなんですよ。

実はいま姐さんの若かりし頃(そして真田広之の若かりし頃)の映画『皇家戦士』*1を観ながらこれを書いてるんですが、姐さんのアクション、スピードがおかしい。
速い、速すぎて老眼じゃ追えない(老眼の上に動体視力もない)。こ、こんなに速かったっけ……。

ま、考えればそれも当たり前で、当時の香港映画界は、ジャッキー・チェンだのサモ・ハン・キンポーだのアクション全盛期。そんな中で、姐さん主演のアクション映画がシリーズで作られてるくらいだから、そりゃアクションで彼らに見劣りするわけがない。
乱暴に言ってしまえば、姐さんのキャリアの積み方はジャッキー・チェンと同じなわけですよ。

そう思うと、『エブエブ』の主人公は最初ジャッキー・チェンを想定されていたって話、わからんでもない。あのハチャメチャだけどとにかくパワフルだった時代の香港映画は、『エブエブ』のカオスっぷりに通じるものがあるし、もしジャッキーが出ていたとしても、面白い映画にはなったと気はする。
でもね、この映画の主人公は、ミシェル姐さんでなきゃダメだと思う。

姐さんがハリウッドで成功している理由の一つは、アクションと高い演技力、そして佇まいから伝わってくる品格だってことは間違いない。
しかもあれはアジア系ならではといえる類の品格で、静かで柔らかくてじんわりと温かみまで伝わってくる。同じ主演女優賞ノミネートの、品格化け物(褒めてます)ケイト・ブランシェットと比べてみてください。どちらも品格があけど種類が違うでしょ。
この手の品格って白人にはないもだから、ハリウッドで活躍しているアジア系女優にはこの独特の品のある人が多い気がする。

その中で、姐さんと他を分けるのは、魂の底の底から湧き上がる途轍もない力強さだと思うのです。
そう。
「アクションやれば役がもらえる」とガチでアクションを身につけたような戦士のハートこそ、姐さんの魅力の根源です。

『エブエブ』は自分探しの物語。究極の自己肯定感を獲得する物語なんですね。でも、後ろ向きだった人間が自己肯定感を得るには、見たくもない自分と向き合う苦しくてツラい道のりが必要です。
主人公のエヴリンは、過去を振り返るだけでなく、娘との関係性にも、マルチバースを通していくつもの自分とも対峙するはめになる。自分と違うステキ(に見える)な世界の自分になりたいと思ったり、自暴自棄になったりもする。
それを乗り越えて自分自身を改めて獲得する主人公エヴリンは、やっぱりミシェル姐さんのように芯から強さをもつ、しかも温かい強さをもつ女性が演じてこそ、説得力が増す。
クライマックス、エヴリンのパワフルさに泣きまくった私が太鼓判を押す。

え?
自分は戦士じゃないし、そんな強さはないから自己肯定感なんて獲得できないのね、って?
いやいや、そんなあなたはエヴリンの娘、ジョイの気持ちになってエヴリンと対峙してみよう。
エブリンから、ミシェル姐さんから、強さと愛を受け取ろう。
で、いっぱい泣いたら、自分を卑下する気持なんかなくなるから。
卑下しそうになったら、多分ミシェル姐さんがキレイなキックをかましてくれ......じゃない、強く優しく抱きしめてくれるに違いないから。
そして顔を上げて自分自身と対峙しよう。

何がなんだか自分でもわからなくなってきましたが、とにかく!
もうミシェル姐さんを見れば条件反射で涙ぐんでしまうほど、この映画のミシェル姐さんは究極の高みに到達しました。
アカデミー賞受賞は必然です。
姐さん、死ぬまでついていきます。

Podcastでは考えるな、感じろ!としか言いようのないこの映画について、語ってます。

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*1:80年代の香港映画。香港警察のミシェル姐さんと、日本人で元刑事の真田広之が悪い奴と闘う。ゆるいコメディ演出と慈悲ゼロの殺戮、若くて発展途上の演技とキレッキレのアクションが同居していて、無茶苦茶だがまったく飽きない。さすが80年代。

『RRR』インド映画について一切語らず錯乱している話(ネタバレなし)

レ、レイ・スティーヴンソン、カッコいいわーーー!!!
インド総督の!
軍服が!
この上なく似合ってる!
オファーされたのかオーディションか知りませんが、彼をキャスティングしたラージャマウリ監督、愛してるわ!

今日も映画そのものからズレた入り方をしている前世戦士のしのぶです。だって感激したんだもーん。
いつもの通り、『RRR』がどれだけすごくて面白いか、という話を読みたい方は、ぜひよそ様のブログで仕入れてきて下さいね。

日本でも大きな話題を集め、ロングランヒットとなった「バーフバリ」シリーズのS・S・ラージャマウリ監督が、英国植民地時代の激動のインドを舞台に、2人の男の友情と使命がぶつかり合う様を豪快に描くアクションエンタテインメント。

1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため立ち上がったビームと、大義のため英国政府の警察となったラーマ。それぞれに熱い思いを胸に秘めた2人は敵対する立場にあったが、互いの素性を知らずに、運命に導かれるように出会い、無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、2人は友情か使命かの選択を迫られることになる。

「バードシャー テルグの皇帝」のN・T・ラーマ・ラオ・Jr.がビーム、ラージャマウリ監督の「マガディーラ 勇者転生」にも主演したラーム・チャランがラーマを演じた。タイトルの「RRR」(読み:アール・アール・アール)は、「Rise(蜂起)」「Roar(咆哮)」「Revolt(反乱)」の頭文字に由来する。第95回アカデミー賞ではインド映画史上初となる歌曲賞にノミネートされた。

2022年製作/179分/G/インド
原題:RRR
配給:ツイン
(映画.comより)

ということで。
レイ・スティーヴンソンですよ!
インド映画でレイ・スティーヴンソンがインド総督役で悪役ですよ!

嬉しくて踊れるものならナートゥを踊っちゃうよ、私!

私がレイ・スティーヴンソンを知ったのは、『キング・アーサー*1のダゴネット役でした。正直言って、あの映画で覚えているのは彼だけと言っても過言……だけど、一番燃えたのはレイでした。
凍った湖での決死のシーンがああ!
おかげで戦士の心が大騒ぎして一目ぼれですよ!

なもんだから、次の出演作『パニッシャー:ウォーゾーン』*2レイ・スティーヴンソン目当てで観に行きました。この映画がもう笑うしかないほど売れなかったんですが、私は大好きなんですよ!
その後は単独主演作、というものにはなかなかお目にかかれなかったこともあり、力入れて追いかけることはなくなりました。
それなのになぜかこの男、私の観る映画観るドラマ、あちこちに現れて喜ばせてくれるんですよ。
なんという相性の良さ!
もはや運命!

とにかくレイ・スティーヴンソンの何がいいって、何を着せてもキマる、それこそスーツから軍服、騎士の恰好まで何でもビシッと着こなしてしまう見事な体格ですよ!
背の高さに加え、骨格がいいのか(特に肩から背中)体の線がはっきりしていて、年取って太ってしまってからも崩れた印象がない奇跡の人。
しかもそんな素晴らしい体の上に乗っているのは、眼光鋭い三白眼付きの端正な顔!IMDbでの彼の紹介文にある"Tall, dark, but somewhat gentle-looking actor"*3っていう表現が、実にぴったりハマります。誰だ、これ書いた人。素晴らしい。

そんなレイの!
インド総督の!
軍服姿が!
似合いすぎる!
ハマり過ぎる!
もうこれから貴方のことを「総督!」って呼んじゃうよ!

しかもです、『RRR』でのレイの素晴らしさはビジュアルだけではないんです。
いくらなんでも恰幅のよくなった最近のレイが、あの激しいアクションのあるインド映画でアクションはしないよね〜、と、思っていたらばですよ?
ここでですか!?というタイミングでシビレる銃さばきを見せてくれるんです!
これまたもう実にカッコよくて!
映画館で声出ちゃったよ!
くぅうううう!

アジア映画に出てきた西洋人が、こんなにシビれる姿だったことって滅多にないんじゃないでしょうか(私の観ている絶対量が少ないので、偏見かもしれない)。
結構微妙な役者が出てたりしていて、とにかく西洋人を持ってきましたってだけで、興ざめすることもあります。
もちろん、自国の役者と違って思い通りにキャスティングするにはいろんなハードルがあるってことはわかってます。金とか偏見とか金とか金とか。仕方ない。

でも『RRR』は違います。
本気で憎々しくも威風堂々たる役者、しかも映画の荒唐無稽なアクションとビジュアルに負けない役者として、レイ・スティーヴンソンを選んだその慧眼たるや!
ラージャマウリ監督はハリウッド映画をめちゃくちゃ見ている人なので、もちろんレイのことは知っていたはず。
『ハーフバリ』で世界規模の実績を積んだお陰で、(多分)金も積めるようになったラージャマウリ監督、キャスティング決まって嬉しかったに違いない。
もちろん出演を決めたレイ自身も、素晴らしい慧眼だぜ!

ということで、『RRR』はアクション映画としても娯楽映画としてもインド映画としても、そしてレイ・スティーヴンソン映画としてもトップクラスの映画です。

こんなところでも出会えるなんて、やっぱり貴方は私の運命の人ね!

 

……ブログは錯乱してますが、↑を書いて少々冷えた頭で録ったPodcastでは『RRR』について比較的まともなことを喋っています。
お口直しが必要な方はぜひ。

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*1:そんなに売れなかったらしい2004年のアーサー王伝説映画。でも監督はみんな大好きアントワーン・フークワだし、出てる役者も渋いところを突いてくる人ばかりだし、好きな人はツボに入りまくるはず。ちなみに私がマッツ・ミケルセンを知ったのもこの映画。

*2:マーベルのキャラクター、パニッシャーの3回目の映画化。すごくカッコよかったのに、なんで売れなかったのか、本気で心底全然全くわからない。ちなみに1回目の映画化では主演はドルフ・ラングレン、2回目の映画化ではこの人が主演。

*3:Ray Stevenson - IMDb

『ハドソン・ホーク』ブルース・ウィリスが作りたかったんだからいいじゃないという話(ネタバレなし)

先日、われらがブルース・ウィリスについて、とても悲しいニュースがありました。昨年、失語症で俳優引退の時もショックでしたが、その後症状が進んで前頭側頭型認知症との診断が下されたとのこと。
認知症は、いろんなことが失われてしまう病気です。ブルースのように努力を重ね夢をかなえた人が、その夢さえも忘れてしまいます。本当に悲しい病だと思います。
でもね。ブルースを愛する世界中のファンは彼を忘れない。
ブルース本人が忘れてしまった分まで、ファンは彼の作品を観続けて愛し続けるはずです。

とはいえ、ブルースは山ほど映画に出ているので、その分、駄作も多い人なんですね。失語症の症状が出始めたんであろう最近を除いても、厳しめに見れば打率5割くらいが妥当じゃないかと思います。
まあそんな駄作を微笑ましく観るのもブルース鑑賞の醍醐味です。個人的には、ブルース好きの人って、滅茶苦茶ストライクゾーン広い人が多い気がしてます。

……でも、そんなファンですら無かっことにしているのがこの映画『ハドソン・ホーク』。ブルースの駄作の中でも、ずば抜けて駄作の呼び声高い作品です。ちなみに私はこの映画で、ラジー賞*1を知りました。

ダ・ビンチの残した謎の純金製造マシーンを追って、怪盗ハドソン・ホークと世界制覇を企む夫婦、またその他の人間が入り乱れて繰り広げられるアクション・アドベンチャー。監督は「ヘザース ベロニカの熱い日」のマイケル・レーマン、製作は「プレデター2」のジョエル・シルヴァー、脚本は「ダイ・ハード2」のスティーブン・E・デスーザと「ヘザース ベロニカの熱い日」のダニエル・ウォーターズが共同で執筆。撮影はダンテ・スピノッティ、音楽を「ダイ・ハード」のマイケル・ケイメンと「リトル・マーメイド」のロバート・クラフトが担当。出演はブルース・ウィリス、アンディ・マクドウェル。

1991年製作/100分/アメリ
原題:Hudoson Hawk
配給:コロンビア・トライスター映画

映画.comより

でもね。
私、ブルース作品の中でこの『ハドソン・ホーク』が1番好きなんです。
ええもう、公開当時、映画館で観たその時から。

あ、待って。
そんな、さげすむような眼で見ないで皆さん!
いまから理由を書くから!
それ読んでも納得いかなきゃ、吐き捨てていいですら!

といっても理由はひとつでね。
もう単純に、ブルースが楽しそう。
ただそれに尽きるのです。

はっきり言って、映画は滅茶苦茶です。
ストーリーも演出も滅茶苦茶です。
コメディ映画ですが、ギャグは滑りまくるし、テンポもヒドイ。編集もさぞかし大変だったことでしょう。

でもこの映画を観ていると、ブルースがどんなものが好きなのか、それがすごく伝わってくるんですよ。
なぜかと言えば、この映画、もともとブルースが無名時代に友人とこんな話いいよね~と温めていた話が元になってるんですね。ブルースによるブルースのための映画。
だから演じているブルースの顔もとっても楽しそう。
……後々裏話を知りましたが、撮影中はそれはもう悲惨な現場だったらしいんで、まあおそらく、本人だけが楽しかったんだと思うけど。

ハドソン・ホーク』を観ていると、ブルースは、アメリカンニューシネマ以前の50~60年代、映画はただただ明るく楽しく呑気で小洒落ていた時代、あのころのものが好きなんだろうなと思います。

どうしても『ダイ・ハード』のイメージが強いので、タンクトップ姿が目に浮かんでしまいますが、ブルースって本来は、アクションやマッチョな役よりも、この映画のようなちょっとクラシック(古臭い)な格好の役が好きなんじゃないかなあ。
さらに言えば、辛気臭い話より、コメディ映画の方がより好きなんじゃないかなあ。
ダイ・ハード』もブルースと脚本家が意気投合して、あの笑えるアクション映画に昇華したらしいですし、楽しいものが大好きな人なんですよ、きっと。

そんなブルースがずーっとやりたかったことを、『ダイ・ハード』で得た名声とコネと金を使って「うぇ~~い!」と勢いで実現したのが『ハドソン・ホーク』なんです。
だから、駄作とか言って黒歴史にせず、『ハドソン・ホーク』をみてブルースを堪能しましょうよ。

このブログで何度も書いてますが、製作者のやりたいことがにじみ出てる映画なら、もうそれで花丸満点の映画じゃあないですか。
ファンにも批評家にも製作に関わった全ての人にとっても悪夢のような映画ではありますが、少なくともブルースにとっては若き日の夢が結実した映画です。
今回改めて観ましたが、やっぱり断言できます。

ブルース・ウィリスは『ハドソン・ホーク』が1番なんだよ!

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*1:正式にはゴールデン・ラズベリー賞アカデミー賞とそっくりだが、中身は真逆で、その年のダメダメ映画を称える?映画賞。もう40年くらい続いている。もちろんジョークの映画賞だが受賞した側はそれなりに不愉快らしく、過去授賞式に出てトロフィーを受けとった強者はわずか4名。『ハドソン・ホーク』は最低作品賞と最低監督賞を受賞しましたが、雇われ監督だったマイケル・レーマンはトバッチリだと思うのです。可哀そう。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』3Dテレビに踊ったあの日を思い出す(ネタバレなし)

アバター』と聞くたび思い出す。
あれは蜃気楼よりも儚く消えた、家電業界の輝かしい未来。
その名を「3Dテレビ」という。

はい。私、前職では家電メーカーに勤めてました。

ジェームズ・キャメロン監督が革新的な3D映像を生み出し、全世界興行収入歴代1位の大ヒット作となった「アバター」の約13年ぶりとなる続編。前作から約10年が経過した世界で、新たな物語が紡がれる。

地球からはるか彼方の神秘の星パンドラ。元海兵隊員のジェイクはパンドラの一員となり、先住民ナヴィの女性ネイティリと結ばれた。2人は家族を築き、子どもたちと平和に暮らしていたが、再び人類がパンドラに現れたことで、その生活は一変する。神聖な森を追われたジェイクとその一家は、未知なる海の部族のもとへ身を寄せることになる。しかし、その美しい海辺の楽園にも侵略の手が迫っていた。

ジェイク役のサム・ワーシントン、ネイティリ役のゾーイ・サルダナらおなじみのキャストが続投し、前作でグレイス・オーガスティン博士役を務めたシガニー・ウィーバーが、今作ではジェイクの養子キリ役をモーションキャプチャーによって演じている。

2022年製作/192分/G/アメリ
原題:Avatar: The Way of Water
配給:ディズニー

前作を遥かに超えるキャメロン渾身の『アバター:WoW』*1なので、敬意を表してIMAX3Dを観てきました。
正直に言えば、もしこの映画を2Dやテレビで観ていたら、多分私は飽きて寝てます

なぜかといえば、映画の半分はパンドラの自然やナヴィたちの生活を延々映しているだけだからです。だから3時間超えの尺になったのか。
この『アバター:WoW』、ほぼドキュメンタリー映画です。パンドラ版の『プラネットアース』か『ホットスポット 最後の楽園です。*2
物語部分はシンプルでどっかでみたようなド定番なんで、この大自然堪能シーンをもっとカットすれば、多分2時間の尺に収まるんじゃないかと思います。

でもなー、その2時間の尺におさまった『アバター:WoW』なんて、ちっとも面白くないだろうなと思います。ついでに言えば、2Dで観ても今一つだと思います。
だって基本のストーリー以上に、パンドラの映像含めて一つの作品になっているから。とにかく3D映像のレベルが前作と段違い。
完全に映画の中に入り込んだような感覚に加え、動物や水はその質感まで感じるような映像で、それに目を奪われていたら3時間なんかあっという間ですよ。物語自体はシンプルで、ちょいとばかりいつかどこかで何度も見たような定番の展開ですからね(くどい)、主役は映像なんですよ。

 

しかし、つくづく思い知りました。
こんな映像を家庭用テレビごときで再現しようなんて、おこがましい話なんですよ。
なにせ、キャメロンは『アバター』に24億ドル、WoWには40億ドル、日本円でいまのレートだと500億を軽く超える製作費をつぎ込んでるんですよ。
そんなもんを、いかに高くても数十万で変える程度のテレビで再現しようだなんて、誰が思いついたんだよ、責任者出て来いよ。

前作『アバター』後に、家電メーカーは「これからは3Dの時代だ!」と、鼻息荒く3Dテレビを作りまくったものでした。
当時はまだテレビは家電の主役の座にいたのものの、そろそろ機能は出尽くした感がありました。そんなところに現れた3Dです。大昔の「飛び出す映画」とは格が違います。これはいける!と勘違いしたのも仕方ありません。

そして、私の会社は……もとい、家電業界は3Dテレビに踊りに踊ったわけですよ。3Dを家庭の標準にしようとして......。
ああ色々やったなあ。
あんなキャンペーン、こんなキャンペーン。
体感コーナーとか頑張って作ってたよねー……。
でも売れてたのは、ほんの数年、いや、ぶっちゃけ1~2年のこと。
結局テレビ全体の販売をけん引するほどにはならなくて、10年もせずにフェードアウトしたのです。

今でも思う。
キャメロンが『アバター』を作りさえしなければ、あの会社は3Dテレビに走って迷走することはなかったんじゃないかって。
って、ああ、もうあの会社辞めて半年以上経ったってのに、まだ思い出すとブルーな気分に....。

アバター』好きです。『アバター:WoW』も実によかった。
でもね、観ればどうしても思い出してしまう3Dテレビ。
WoWが公開された今このご時世、いったいどこのご家庭であの鬱陶しい専用眼鏡をかけて3Dテレビを観ているというだろう
もし観てるよという人がいたら、元メーカーとして感謝した方がいいのかどうなのか、なんだか複雑な気分です。

ちなみに、私は3Dテレビ、買ってません。

 

2023/01/18追記

中学時代の担任が「自宅で『アバター』を3D眼鏡かけて観てます」とSNSに投稿していました。ますますさ微妙な気分です。


じゃじゃーん!ブログに書ききれなかったことををつぶやくPodcastを始めてみました。
続けられるかどうか不明ですが、とりあえずやってみよー!の精神です。

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*1:あちこちの記事に出てくる「WoW」ってなんのこっちゃと思っていたんですが、「Way of Water」の略なんですね。私以外にも気づいていない人はいるんだろうか。

*2:プラネットアース』はBBCが、『ホットスポット 最後の楽園』はNHKが作った大自然ドキュメンタリー。実在するのにファンタジーにしか思えない自然が観られる

『ガンズ・アキンボ』トランクス姿を見て汚部屋事件を思い出し言い訳したくなる話(ネタバレなし)

この映画を観て真っ先に思ったことは、昨年、外出先でぶっ倒れて救急搬送された時のことでした

スイス・アーミー・マン」「ハリー・ポッター」のダニエル・ラドクリフが主演を務め、両手に拳銃が固定された状態でデスゲームに参加させられた男の戦いを描いたアクション。ゲーム会社でプログラマーとして働くマイルズは、ネットの掲示板やコメント欄に過激な書き込みをして鬱憤を晴らしていた。ある日、マイルズは本物の殺し合いを生配信する闇サイト「スキズム」に攻撃的な書き込みを繰り返し、サイトを運営する闇組織のボスを怒らせてしまう。組織に襲撃され気を失ったマイルズが目を覚ますと、両手にボルトで拳銃が固定されていた。さらに元恋人も人質にとられたマイルズは、「スキズム」で最強の殺し屋ニックスに24時間以内に勝てば解放すると言い渡される。殺し屋ニックス役に「レディ・オア・ノット」のサマラ・ウィービング。監督・脚本は「デビルズ・メタル」のジェイソン・レイ・ハウデン。

2019年製作/98分/R15+/イギリス・ドイツ・ニュージーランド合作
原題:Guns Akimbo
配給:ポニーキャニオン

ガンズ・アキンボ : 作品情報 - 映画.com

映画.comの説明にある通り、主人公マイルズは、気づけば両手に拳銃をボルトで止められて殺人ゲームに放り込まれます。
ただ、その時マイルズは自宅で惰眠を貪っている最終だったので、ガウンとスリッパ(しかもトラの足)、アンダーシャツとトランクスというあられもない姿だったのですよ。
両手に拳銃が固定されているもんだから手は使えないわけで、服も着替えられず、そもそも部屋から出ることすら大変。
そして殺人鬼に追われるわ街は不審者状態で徘徊するわ元恋人の車に乗り込んで催涙スプレーは浴びせられるわ、思いつく限りのヒドイ目に遭う訳です。
これがもう可笑しくて可笑しくて、人の不幸を堂々と笑えるというフィクションの醍醐味を思う存分味わえます。

こういう恰好です
ところが後半、色々あってまともな服に着替えてからは、さほどひどい目に遭ってるように見えないんですよ。
両手に拳銃が固定されてることに変わりはないんですが、ズボンを穿いてるだけで急に普通のアクション映画に思えてくるから不思議です。
そもそも前半のトラブルは、両手に銃が固定されていること以上に、トランクス姿でうろうろしているせいで招いた不幸なんじゃないかと思う。

結局のところ、すべては見た目がちゃんとしてるかどうかにかかっている訳です。
 
いやほんと、人生何が起こるかわかりません。
わたくし、昨夏に外出先で倒れて救急搬送されたんですが、救急車の中で頭に浮かんだのは、命の心配でも、ましてや転職したばかりの仕事のことでもありません。
 
「やばい、部屋が今、史上最高に汚ねえ」
 
あれは夏の日曜日。転職してから上司やクライアントとうまくいかず、休日もやる気が入らない日が続いていた私。
もともとさしてきれい好きでもないものだから、その日もダラダラ生活していて、気づけば台所は料理の途中、洗濯物は取り込んだだけ、ゴミと書類は床にぶちまけたまま片付けもせず……はっきり言って足の踏み場もない状態
その状態でちょっとスーパーへ出かけたのが全ての間違い。
家を出てから1時間と経たずに、私は救急車に乗せられていたのでした。
 
で、搬送されて即入院だったもんですから、近所に住んでる姉に頼んで、着替えを取りに汚部屋に行ってもらうしかなかったんですね。
しかもよりによってこの姉が、家族の中で最もきれい好きの人でして。
こういう事態を想定して合鍵を渡してあるわけだし、近くに住んでて助かったと思うのも本当だし、ありがたいと思ってるのも本当ではあるのだけれども。
でもああ何でよりによって今なんだよと、自分のだらしなさを棚の一番上に上げたくなる心境を誰か分かって
 
そういう経験をした上でマイルズのトランクス姿を見ていたら、他人の不幸を笑いつつも自分の不幸も思い出して悲喜こもごも(使い方が多分違う)な気分になってきたわけです。
マイルズは途中でズボンを穿けたけど、私には入院中に片付けしてくれる緑の小人さんが来てくれたわけでもない
退院の時もきれい好きの姉は家まで付き添ってくれた。
ありがたくも、汚部屋を二度も見られるのはつらすぎる。
 
…………いや、だめだ。
言い訳させて。
言い訳させてください!
普段はそこまでひどくないの。
きれい好きではないのは確かなんだけど!
掃除を筆頭に家事全般嫌いなんだけれども!
埃は放置しててもゴミまで散らかし放題にする質ではないんだってば!
って、くそ、説得力がねえ!

『マトリックス:レザレクションズ』そして私は会社を辞めた(ネタバレあり)

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1年ぶり更新です。そして、この2022年の間に私、戦場のような会社を辞めて転職しました。
何故って貴方、21年の年末に『マトリックス:レザレクションズ』を観たからですよ。

 

1999年に公開され、革新的な映像技術とストーリーで社会現象を巻き起こしたSFアクションの金字塔「マトリックス」。2003年に公開された続編「マトリックス リローデッド」「マトリックス レボリューションズ」で3部作完結となった同シリーズの新たな物語を描く、18年ぶりとなるシリーズ新章。主人公ネオを演じるキアヌ・リーブスが過去作と変わらず同役を担当するほか、トリニティー役のキャリー=アン・モス、ナイオビ役のジェイダ・ピンケット・スミスらが続投。ネオを救世主と信じ、世界の真実を伝え、彼を導くモーフィアス役を「アクアマン」のブラックマンタ役で知られるヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ネオの宿敵スミス役をドラマ「マインドハンター」のジョナサン・グロフが新たに演じ、ニール・パトリック・ハリスクリスティーナ・リッチらが扮する新キャラクターも登場する。シリーズの生みの親であり、過去の3作品を監督しているラナ・ウォシャウスキーがメガホンをとった。

2021年製作/148分/G/アメリ
原題:The Matrix Resurrections
配給:ワーナー・ブラザース映画

映画.comより)

マトリックス』シリーズって、1作目は大好きで大好きで、好きすぎて公式グッズの「トリニティのコート」を買っちまった(しかも普通に着ていた)くらいだったんですが、2作目3作目ってイマイチなんですよね。

私にとっての『マトリックス』は、コンピュータと人類がどうとかいう話はどうでも良くて、ネオが無意識に自分に掛けていたリミッターを外して解放される話、なんですよ。
だから、ラストでネオには1作目のように飛んで欲しかったの。キリストみたいに横たわってどっか連れていかれるんじゃなくてさ。
「映画としては面白かったけどでもなんかそうじゃない」というモヤモヤを残した、いささか微妙なシリーズの終了でした。

で、この4作目ですよ。
感動しました。私が観たかった『マトリックス』の続きはこれだったんだなと。
再び飛べなくなった=救世主として自信がなくなったネオが、飛ぼう飛ぼうモヤモヤしている話です。

そして、飛んだのは救世主だなんて誰からも思われてなかった、トリニティだったったのよおおおおおおおおおおおおおお!

ああ、救世主(=飛べる)かどうかなんて、誰かから決めてもらうもんではなくて、自分で決められることなんだと、強烈に脳天殴られた気持ちでした。
ネオがいつ飛ぶんだろうと思って観ていた、つまり当たり前のように救世主=ネオだと思っていたので、本当に感動しました。
少なくとも、あの時の私の心にはどでかい衝撃が走りました。

このブログを始めたたころから転職はぼんやり考えてました。
なにせブログにも書いてた通り、過労でメンタルやられて休職するわ、身近に突然死が出るわ、復職しても環境はアフガニスタンだわでしたから。

でもでも私、なんだかんだで創業年数3桁の国内大手企業に25年も勤めてたわけですよ。私も40代後半になり、「あと10数年我慢すれば定年だし」とか、「業績ヤバくなってきたから数年我慢すればリストラ始まって積み増し退職金がガッポリ貰えるんじゃ」とか、打算もありました。
なにより大企業という温室に4半世紀も暮らしていれば、外に出ること自体が恐ろしいわけです。そうそう簡単に決心なんかできません。

でも、2021年12月の年末にこ映画を観ちゃったら、もう居ても立っても居られなくて、正月に転職エージェントに登録、1月の連休明けには初めての面接、2月半ばに転職先が決まり、色々あって5月から新しい会社に入社と、怒涛の人生大転換をやっちまいました。

飛びましたよ。自分で決めて、飛べました。
転職したからって、決して人生バラ色になったとは言いません。苦労はあったし一時は体も壊しましたし。変化と事件ばかりの1年で、落ち着くまで確かに1年かかりました(おいおいネタにします)。

が、少なくとも転職したことを後悔なんてしてません。もう飛ぶ前には戻れません。

文字通り、人生変わった映画になりました。
ありがとう、ありがとう『マトリックス

ということで、2023年、またたわごとを書き続けてまいります。